【車検証移転登録】個人の自動車を法人へ移転

法人を設立したあとに、個人で使用していた自動車を会社の所有物として移転したいケースが多々あります。
今回はその自動車移転登録についてケース別に解説いたします。

「個人→法人」または、「法人→法人(関連会社)」など、自動車を移転する方はたいてい税務的に自動車を経費にしたいと考えている方が多いように思います。
そして、移転登録の際に「車庫証明」の取得がハードルになるケースがあります。

例として東京の渋谷に住んでいる山田太郎さん(個人)が、自分が代表を務める品川商事(会社)へ自動車を移す場合を想定します。

手続き先

自動車の移転登録	車庫証明の取得
管轄の運輸局	管轄の警察署

運輸局の移転登録には「車庫証明」が必要書類となっていますので、車庫証明を取得してから運輸局で移転登録を行います。
しかし、場合によっては車庫証明が無くても移転登録申請できる場合があります。

まず現在の車検証(例)を確認します。

山田さん個人が所有していて、山田さんの自宅(渋谷区渋谷1-2-3)に車を置いている場合ですね。

所有者	山田　太郎
所有者の住所	東京都渋谷区渋谷1-2-3
使用者	※※※
使用者の住所	※※※
使用の本拠の位置	※※※

※※※は同上の意味です。

移転ケース①

所有者	㈱品川商事
所有者の住所	東京都品川区4-5-6
使用者	㈱品川商事
使用者の住所	東京都品川区4-5-6
使用の本拠の位置	東京都品川区4-5-6

こちらが通常のケースです。
「所有者」、「使用者」、「使用の本拠の位置」を法人に変更します。
渋谷に住んでいる山田さんの車を、品川区にある法人に譲渡しました。
この場合は法人(使用者)の住所地から２km以内で駐車場を契約します。(法人で契約したほうが良いでしょう)
車庫証明は使用の本拠の位置から２km以内でないと発行されません。

移転ケース②

所有者	㈱品川商事
所有者の住所	東京都品川区4-5-6
使用者	山田　太郎
使用者の住所	東京都渋谷区渋谷1-2-3
使用の本拠の位置	東京都渋谷区渋谷1-2-3

この方法では車庫証明書を山田太郎個人で申請しますので、住民票があればOKです。
使用者が山田太郎個人ですので、車庫証明の取得や自動車保険の加入は個人が行います。

今回の場合は「現在の車検証と使用者が変わらない」ので車庫証明がなくても運輸局で移転登録申請可能です。
会社の近くで駐車場を契約しなくて大丈夫です。

ちなみに、この場合も自動車税の納付書は法人宛に届きます。

ローンを組んで自動車を買ったことがある方なら想像つくと思いますが、ローン返済中は所有権が移転せず、使用者のみが買った人となっています。
この場合は自動車税が「使用者」に届くこととなっておりますが、これは例外であり、通常は「所有者」宛に自動車税が届きます。

とはいえ使用者は個人(山田太郎)となりますので、税務的な詳細は税理士さんにご確認ください。

移転ケース③

所有者	㈱品川商事
所有者の住所	東京都品川区4-5-6
使用者	㈱品川商事
使用者の住所	東京都品川区4-5-6
使用の本拠の位置	東京都渋谷区渋谷1-2-3

普通は代表者(個人)の住所を使用の本拠の位置にできないのですが、そこで仕事をしている証明ができれば可能です。
この場合は渋谷区(山田太郎の住所)宛に届いている、法人宛ての郵便物や、法人宛のガス・電気代など請求書などを添えて、そこで仕事をしている証明をして申請します。
少し難易度が上がりますが、こうすると、駐車場は会社の近くではなく、本拠の位置から２キロ圏内で駐車場と契約します(車庫証明が申請できます。)