起業

株式会社設立には募集設立と発起設立とがありますが、設立の多くは発起設立になります。
今回は株式会社発起設立についての「機関(取締役など)の決定」について解説致します。

■株式会社の発起設立の手順
1.商号の調査・決定
2.目的の調査・決定
3.定款の作成
4.定款の認証
5.株式発行事項の決定と引き受け
6.出資の履行による会社財産の形成と株主の確定
7.機関(取締役など)の決定 ←今回はここの話
8.法務局へ登記

設立時役員の決定

発起人は出資の履行が完了したあと遅滞なく、設立時取締役を選任しなければならないと定まっています。

■設立時役員とは
会社設立前に株式会社の取締役や監査役が存在するのは不自然で、設立前後では職務が違う場合もあるので、設立後と区別して「設立時取締役等」が定められています。

■選任の方法
「株式発行事項の決定」は発起人全員の同意でしたが、設立時取締役等の選任は発起人が引き受けた株式数に応じた議決権の過半数で決定されます。
必ずしも発起人集会のような会議を開催して選任する必要はなく、持回りまたは書面などによることもできます。

※なお定款で設立時取締役等として定められた者は出資の履行が完了した時点で専任されたものとみなされます。

決議書の例 

■設立時取締役の選任

設立時取締役選任及び本店所在場所決議書
令和○年○月○日○○商事株式会社創立事務所において発起人全員出席し(又は議決権の過半数を有する発起人出席し)その全員の一致の決議により次のように設立時取締役及び本店所在場所を次のとおり選任,決定した。
設立時取締役 ○県○市○町○丁目○番○号 ○○太郎
○県○市○町○丁目○番○号 ○○一郎

本店 ○県○市○町○丁目○番○号
上記決定事項を証するため,発起人の全員(又は出席した発起人)は,次のとおり記名押印(又は署名)する。

令和○年○月○日
○○商事株式会社
発 起 人 ○○太郎 ㊞
発 起 人 ○○一郎 ㊞

※定款で本店所在地を最後まで決めていない場合は本店の住所も決議します。

発起人の中から選任された被選任者が席上で就任を承諾し、その旨の記載し、被選任者の住所の記載及び被選任者の記名押印(設立時取締役は実印を押印、設立時監査役については認印で構いません。)が決議書にある場合には,就任承諾書を省略することができます。
就任承諾書を省略する場合でも、設立時取締役の印鑑証明書は必要になります。
発起人以外から設立時取締役(又は設立時監査役)を選任した場合には就任承諾書を添付することが必要です。

■設立時代表取締役の選定

設立時代表取締役選定決議書
令和○年○月○日○○商事株式会社創立事務所において発起人全員出席し(又は過半数の発起人出席し)その全員の一致の決議により次のように設立時代表取締役を選定した。なお,被選定者は即時その就任を承諾した。

設立時代表取締役 ○県○市○町○丁目○番○号 ○○太郎

上記設立時代表取締役の選定を証するため,発起人の全員(又は出席した発起人)は,次のとおり記名押印する。

令和○年○月○日
○○商事株式会社
発起人 ○○太郎 ㊞
発起人 ○○一郎 ㊞

発起人の中から選定された被選定者が席上で就任を承諾し、その旨の記載があり、被選定者の記名押印が決議書にある場合には、就任承諾書を省略することができます。

定款に記載して決定する場合

第〇章 附 則
(設立時取締役等)
第〇〇条 当会社の設立時取締役及び設立時代表取締役は、次のとおりである。
設立時取締役 ○○○○
設立時取締役 □□□□
設立時代表取締役 ○○○○

定款の場合、通常は最後の附則の章に記載します。