起業

株式会社設立には募集設立と発起設立とがありますが、設立の多くは発起設立になります。
今回は株式会社発起設立についての「目的の調査・決定」について解説致します。

株式会社の発起設立の手順
1.商号の調査・決定
2.目的の調査・決定 ←今日はここの話
3.定款の作成
4.定款の認証
5.株式発行事項の決定と引き受け
6.出資の履行による会社財産の形成と株主の確定
7.機関(取締役など)の決定
8.法務局へ登記

目的の調査と決定

会社の目的とは
「目的」は定款にも記載しますし、登記簿にも登記されます。定款認証が問題なく済んでも、法務局での登記のさいに不適正になってしまう場合があります。事前に担当法務局で調査することをお勧めいたします。

目的を決めるポイント
目的は同じ業種の謄本を見てみるのが参考になります。ベンチマークしている会社があれば見てみましょう。以下3点がポイントとなります。
①適法性
・法律や公序良俗に違反していないか
②営利性
・営利を追求したものになっているか
③明確性
・誰が見てもわかる内容になっているか
※「ボランティア活動」とかは会社の目的にそぐわない恐れがあります。
許認可が必要な業種は、許可要件として入れておくべき目的も確認します。

注意点

信用保証協会の融資対象外業種がある
以下のような目的が入っていると保証協会付きの融資を受けることができなくなります。なんでも入れられるからといって、すぐに行わない業務を目的に入れることはお勧め致しません。以下は一例です。

  • 農業(一部除外あり)
  • 林業(一部除外あり)
  • 狩猟業
  • 漁業
  • 水産養殖業(一部除外あり)
  • 金融業(保険業を除く)
  • 風俗営業の一部

目的の例

【建設業の場合】
将来許認可を取得する予定の工事があれば目的に入れておいたほうがよいでしょう。
記載例として例えば、
・建築,土木工事の施工及び請負
・土木工事の施工及び請負

上記の記載はいくつもの工事を網羅できますが、以下のように具体的に記載することもできます。

(目的)第○条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1.内装仕上工事業
2.管工事業
3.電気工事業
4.塗装工事業
5.前各号に付帯する一切の事業

【宅建業の場合】
宅地建物取引業免許申請にあたり以下のような目的を記載しておくとよいでしょう

・宅地建物取引業
・不動産の売買、賃貸及びその仲介
・不動産の売買、賃貸、仲介及び管理
・不動産の売買、賃貸、交換、分譲、管理及びその仲介又は代理業

【IT(システムの開発)の場合】
非常に幅広い業界なので、個別に検討する必要がありますが、代表的な例は以下のようになります

・コンピュータシステムの企画、開発、販売及び保守に関する業務
・コンピュータのソフトウェアの立案・開発及び販売
・ウェブサイトの企画、設計、開発、運営及び販売