ホテル受付

ホテル・旅館は留学生の資格外活動や特定技能でも働くことができますが、今回はホワイトカラー採用の「技術・人文知識・国際業務」における事例です。
もちろん経理や総務などの部門でも働けますが、ホテルが外国人を採用する王道の目的として翻訳・通訳があります。今回は翻訳・通訳(国際業務)の事例をみていきます。

外国人のホワイトカラー採用

■要件

外国人学歴(大学または日本の専門学校卒)があること
会社仕事内容(外国人の学んできたことに合う職種で採用すること)

例外)従事する予定の業務について、10年以上の実務経験があれば学歴がなくても申請可能ですがレアケースです。

注意点)大学は本国でも日本でもOKですが、専門学校は日本の学校のみ学歴とみなされます。なお、日本語学校だけでは学歴とみなされません。

以下、「外国人」と「会社」について細かく見ていきます

■外国人について

外国人について、以下の2つを満たす必要があります

  1. 在留資格該当性
  2. 上陸許可基準適合性
①在留資格該当性

■在留資格該当性とは

入管法では、外国人が日本で行う活動を在留資格というカテゴリーに分けて規定しています。
例えば「経営・管理」や「留学」や「企業内転勤」や「家族滞在」など30以上の種類があります。それぞれの在留資格には「行うことができる活動内容」が規定されています。外国人の方が取得しようとする在留資格に規定されている「行うことができる活動内容」と、これから日本でしようと考えている活動内容が一致しなければ、在留資格の許可は与えられません。典型的なホワイトカラー採用の在留資格として「技術・人文知識・国際業務」があります。

■「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の活動の定義

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う
・理学,工学その他の自然科学の分野
・若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術
・若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考
・若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動

※上記の知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考の部分が国際業務にあたります。通訳や翻訳は国際業務にあたります。

②上陸許可基準適合性(国際業務)

次のいずれにも該当していること

  1. 翻訳、通訳、語学の指導、広報、宣伝または海外取引業務、服飾もしくは室内装飾に係るデザイン、商品開発これらに類似する業務に従事すること
  2. 業務について3年以上の実務経験があること。ただし、大学卒業者が翻訳、通訳または語学の指導に従事する場合はこの限りではありません。

会社について

■従事できる業務内容
  • 語学力を活かした国際業務(フロントにおける翻訳・通訳)
  • マーケティング・企画(海外向けサイトの作成)
  • 広報・宣伝
  • 旅行会社への営業

※高い専門知識を使う業務を前提としていますので、レストランのキッチン、客室清掃など単純労働は認められません。

■安定性

企業の雇用の安定性が見られます。
雇用の安定性は以下の3つによって判断されます。

  1. 企業規模
    ⅰ上場企業
    ⅱ法定調書合計表の源泉徴収額が1500万以上
    ⅲ法定調書合計表の源泉徴収額が1500万未満
    ⅳ法定調書合計表の源泉徴収額がない(設立間もない企業)
  2. 雇用形態 (正社員か非正規雇用)
  3. 雇用期間 (雇用契約書に期間の定めがあるかないか)
■外国人への報酬

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬とすることが必要です。

典型的事例

許可事例

  1. 本国において大学の観光学科を卒業した者が、外国人観光客が多く利用する日本のホテルとの契約に基づき、月額約22万円の報酬を受けて、外国語を用いたフロント業務、外国人観光客担当としてのホテル内の施設案内業務等に従事するもの
  2. 日本において経済学を専攻して大学を卒業したものが、日本の空港に隣接するホテルとの契約に基づき、月額約25万円の報酬を受けて、集客拡大のためのマーケティングリサーチ、外国人観光客向けの宣伝媒体(ホームページなど)作成などの広報業務等に従事するもの

不許可事例

  1. 本国で経済学を専攻して大学を卒業した、日本のホテルに採用されるとして申請があったが、従事する予定の業務に係る詳細な資料の提出を求めたところ、主たる業務が宿泊客の荷物の運搬及び客室の清掃業務であり、「技術・人文知識・国際業務」に該当する業務に従事するものとは認められず不許可となった
  2. 本国で日本語学を専攻して大学を卒業したものが、日本の旅館において、外国人宿泊客の通訳業務を行うとして申請があったが、当該旅館の外国人宿泊客の大半が使用する言語は申請人の母国語と異なっており、申請人が母国語を用いて行う業務に十分な業務量があるとは認められないことから不許可となった

入管が見ているポイント

  • 業務内容が適正であること
  • 外国人が必要な能力を満たしていること
  • 翻訳・通訳としての業務量が確保されていること
    ・外国人宿泊者データ(雇用予定の外国人が使用する言語の外国人)
    ・他の外国人従業員の雇用状況
    ・地域のインバウンド需要の状況
  • 雇用の安定性・継続性

ホテルでホワイトカラー採用(技術・人文知識・国際業務)をする場合、入管は配膳とか清掃とか単純作業をさせるのではないかと懸念をいだきます。外国語などを扱う業務量や地域のインバウンド等の特性などを資料として添付すると審査がスムーズになります。