請負契約書

請負契約の内容

建設業法の第18条には「建設工事の請負契約の原則」が載っています。
【第18条】建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結し、信義に従つて誠実にこれを履行しなければならない。

なぜわざわざこの条文を置いているかというと、どうしても注文する方が立場が強くなることが多いからです。
発注者 ⇔ 元請負人 ⇔ 下請負人
それぞれが対等の立場だと言っているのですね。

その次の第19条には「建設工事の請負契約の内容」があります。これは第18条の「対等の関係」であるとの趣旨に従い、請負契約書をつくる際は以下の事項を入れなければならないとなっています。

① 工事内容

② 請負代金の額

③ 工事着手の時期及び工事完成の時期

④ 工事を施工しない日または時間帯の定めをするときは、その内容(2020年10月新設)

⑤ 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法

⑥ 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め

⑦ 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め

⑧ 価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更

⑨ 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め

⑩ 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め

⑪ 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期

⑫ 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法

⑬ 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容

⑭ 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金

⑮ 契約に関する紛争の解決方法

⑯ その他国土交通省令で定める事項(2020年10月新設)

民法では「契約自由の原則」があり、契約の中身に何を盛り込むかは自由、ということになっています。
民法オリジナルでは注文者に有利な契約になりかねないので、建設業法で修正している形ですね。

「基本契約書」と「注文書・請書」

実務的には何度も同じ業者さんと受発注をしているケースが多く、その都度契約書を作るのは面倒です。その場合は最初に「基本契約書」を作成し、具体的な取引についてはその都度、「注文書と請書」を交換することになります。
「基本契約書」には上記の①~③(工事の内容や金額)以外の項目を記載し、「注文書・請書」には上記の①~③(その時の工事の内容や金額)を記載します。
「注文書・請書」には、「記載されている事項以外は基本契約書の定めによる」と明記してください。

「基本契約書」がないのに「注文書及び請書」のみで取引する場合は、それぞれの「注文書・請書」に契約約款を付ける必要があります。

よくあるミスは、長年ずっと「注文書及び請書」のみで取引していたが、「基本契約書」を取り交わしていなかった、というような状況です。
契約書類は建設業許可取得の際の経営管理責任者や専任技術者の経験の証明書類になります。定期的に契約書類を整理して確認することをお勧めします。

例えば建設業許可の専任技術者の要件を実務経験によって満たそうとする場合は、10年分の経験の証明が必要になります。契約書類は大事に保管してください。