建設業

建設業にかぎらず、元請負人と下請負人は注文者のほうが立場が強い傾向にあります。建設業法は注文者による不当な行為をいくつか条文で禁止していますし、「建設業法法令遵守ガイドライン(第5版)」では以下のような記述があります。

「赤伝処理等による一方的な代金の差し引き、指値発注による不適切な下請取引、追加・変更契約の締結拒否、下請負人の責によらないやり直し工事の強制、正当な理由がない長期間にわたる支払保留等、下請負人へのしわ寄せが依然として存在するとの指摘がなされているところです。こうした状況は、技能労働者への適切な賃金水準が確保できなくなるなど、建設産業が持続的な発展を遂げる上での阻害要因になりかねません。」

本日は「不当な使用資材等の購入強制の禁止」と、それに関わる「赤伝処理」について解説します。
※指値発注については別のページで解説しております。
(※指値発注とは)

【第19条の4】不当な使用資材等の購入強制の禁止
注文者は、請負契約の締結後、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事に使用する資材若しくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを請負人に購入させて、その利益を害してはならない。

赤伝処理

赤伝処理とは、元請負人が以下のような費用を下請代金の支払時に差引く(相殺する)行為です。

・一方的に提供・貸与した安全衛生保護具等の費用
・下請代金の支払に関して発生する諸費用(下請代金の振り込み手数料等)
・下請工事の施工に伴い、副次的に発生する建設廃棄物の処理費用
・上記以外の諸費用(駐車場代、弁当ごみ等のごみ処理費用、安全協力会費等)

例えば、
①販売促進名目の根拠が不明確な協力費等、差し引く根拠が不明確な費用を差し引く。
②請負人の駐車場、宿舎を下請負人に使用させた場合に、過大な使用料を差し引く。
③責任及び費用負担を明確にしないままやり直し工事を別の専門工事業者に行わせ、その費用を一方的に負担させる。
などが赤伝処理の恐れがあります。

赤伝処理を行う場合は、その内容を明示し、双方の協議・合意を経るだけでなく、下請負人の過剰負担となることがないよう十分に配慮することが必要です。

まとめ

民法の相殺は、対立する債権債務があれば、一方当事者からの意思表示によって、相殺できてしまいます。しかし民法のルールでは以下の3つが相殺禁止債権となっています。

①不法行為による損害賠償債権
②差押禁止債権
③差し押さえられた債権

「差押禁止債権」とは例えば「給与」などがあります。事業者さんにとって報酬は「給与」のようなものなので、建設業法で厳しく規制している形ですね。

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