合同会社の定款作成の注意点

合同会社は手軽に設立できるイメージがあります。
法務局の定款例も1ページで収まっています。
合同会社は「相対的記載事項」が多いのが特徴です。定款に記載の無い場合は会社法のとおりになるのですが、ここに注意点があります。
会社法を理解して、将来的に運営が行き詰まらないように定款を作成しておく必要があります。

用語
  • 「絶対的記載事項」…定款に必ず記載しなければならない事項
  • 「相対的記載事項」…定款に記載しなくとも定款自体の効力は有効であるが、定款に定めがないと、その事項の効力が認められないもの

定款作成の注意点

合同会社の出資者は、出資金額に関係なく、平等な発言権を有する

これは1万円の出資者でも1000万円払った出資者でも同じ1票の発言権です。
例えば1万円の出資者が2名、1000万円の出資者が1名の場合、1万円の2名の意見が重なれば、会社の意思決定はできていまします。
これを変更する場合は定款に記載する必要があります。

合同会社の社員は全員業務執行権を有します

社員は全員業務執行権を有しますが、「これと異なる別段の定め」をすることができます。
業務を執行する社員と、執行しない社員を定める場合は定款に記載します。

代表社員を定める場合

「定款の定めに基づく社員の互選によって、業務を執行する社員の中から代表社員を定めることができる」とされています。

合同会社の社員の地位は相続されません

相続について定款に定めがない場合には、相続人その他の一般承継人は、社員となることができず、社員1人の合同会社は解散することになりますので、要注意です 。

損益分配の割合についての定め

損益分配の割合について定款に定めがないときは、その割合は、各社員の出資の割合に応じて定まります。
損益の分配を出資の割合と異なる割合にする場合には、必ず定款に定めなければなりません。

モデル定款 ※複数名で設立する場合

○○合同会社定款

第1章 総 則

  (商号)

  第1条  当会社は、〇〇合同会社と称する。

  (目的)

 第2条  当会社は,次の事業を営むことを目的とする。
    1.〇〇の販売
    2.前各号に附帯する一切の業務

(本店の所在地)

第3条  当会社は、本店を東京都○○区に置く。

  (公告の方法)

第4条  当会社の公告は、官報に掲載してする。

第2章 社員及び出資

 (社員の氏名、住所、出資及び責任)

第5条  社員の氏名及び住所並びに出資の価額は、次のとおりである。

  社員 株式会社○○ 東京都渋谷区渋谷〇ー○ー○ 金●●円
  社員 ○○○○   東京都渋谷区恵比寿〇ー○ー○金●●円

2 当会社の社員は、全員有限責任社員とする。

  (持分の譲渡制限)

第6条  社員は、他の社員の議決権の全部による承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。

   2 前項の定めにかかわらず、業務を執行しない社員は、業務を執行する社員の全員の承諾があるときは、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができる。

(社員の加入)

第7条  新たに社員を加入させるには、総社員の議決権の全部による同意を得なければならない。

※3分の2以上などもできます。社員の加入は定款変更になりますので、定款変更も同様の緩和が必要です。総社員の同意が無難かと思います。

  (社員の任意退社)

第8条  社員は、事業年度終了の時において退社することができる。この場合においては、当該社員は、3か月前までに当会社に退社の予告をしなければならない。

   2 前項の規定にかかわらず、社員は、やむをえない事由があるときは、いつでも退社することができる。

   3 前項のやむを得ない事由とは、当会社設立時又は入社時に前提としていた状況が著しく変わり、当初の合意どおり社員を続けることが困難になることをいう。

  (社員の法定退社)

  第9条 社員は、次に掲げる事由によって退社する。

 一 社員の持分を差し押さえた債権者による退社の請求
   ただし、この場合は、差押債権者は、当会社及び当該社員に6か月前に予告しなければならない
 二 総社員の同意
 三 死亡
 四 合併による消滅
 五 破産手続開始の決定
 六 解散
 七 後見開始の審判を受けたこと※退社事由にしないこともできます
 八 除名

(相続及び合併による持分の承継)

第10条  当会社の社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合には、当該社員の相続人その他の一般承継人は、他の社員の承諾を得て、持分を承継して社員となることができる。

※「他の社員の承諾を得て」を入れない場合もあります。相続させない場合は定款に何も定めなければ大丈夫です。

第3章 業務の執行及び会社の代表

  (業務執行社員)

第18 条 社員○○株式会社及び○○○○は、業務執行社員とし、当会社の業務を執行するものとする。

(代表社員)

第19 条 当会社に代表社員1名を置き、業務執行社員の中から、業務執行社員の互選によって定める。
2 代表社員は社長とし、当会社を代表する。

 (業務及び財産の状況の報告義務)

第20 条 業務執行社員は、他の社員から請求があるときは、遅滞なく、会社の業務及び財産の状況を報告しなければならない。

  (報酬等)

第21 条 業務執行社員の報酬、賞与その他の職務執行の対価として当会社から受ける利益については、社員総会において議決権の3分の2以上の多数による承認を受けなければならない。

第4章 計 算

  (事業年度)

第22 条 当会社の事業年度は,毎年1月1日から翌年12月31日までとする。

   (損益分配の割合)

第23 条 各社員の損益分配の割合は、各社員の出資の価額に応じるものとする。

他の例)利益の分配は社員○○が3割、社員□□が7割とする。損失の分配な社員○○が3割、社員□□が7割とする。

(利益の配当)

第24 条 利益の配当をしようとするときは、毎事業年度末日現在の社員に配当するものとし、社員の議決権の過半数の同意をもって、次の事項について定めなければならない。
一 配当財産の種類及び帳簿価格の総額
二 社員に対する配当財産の割当てに関する事項
三 利益配当が効力を生じる日
2 社員は、前項の確定後でなければ当会社に対して利益配当の請求をすることができない。

(出資の払戻しの制限)

第25 条 社員は、定款を変更してその出資の価額を減少する場合を除き、出資の払い戻しを請求することができない。

第5章 定款の変更

  (定款の変更)

第26 条 当会社が定款を変更するには、総社員の議決権の全部による同意を得なければならない。

附 則

  (最初の事業年度)

第27 条 当会社の最初の事業年度は、当会社設立の日から令和〇年12月31日までとする。

  (定款に定めがない事項)

第28 条 この定款に定めのない事項については、会社法その他の法令の定めるところによる。

 以上、〇〇合同会社の設立のため、社員株式会社○○外1名の定款作成代理人である行政書士吉田正樹は、電磁的記録である本定款を作成し、電子署名をする。

令和  年  月  日

     有限責任社員 株式会社○○
            代表取締役〇〇 〇〇

     有限責任社員 〇〇 〇〇

上記代理人  行政書士 吉田 正樹

株式会社っぽく運営するなら社員総会の章を追記すると良いでしょう

   

第3章 社員総会

  (社員総会の設置)

第11 条 当会社に社員全員で組織する社員総会を置く。

(社員総会の権限)

第12 条 社員総会は、法令又は定款の規定に基づき社員の同意、承諾又は承認を要する事項、その他業務執行社員が必要と認める事項について、同意、承諾、又は承認等の決議をすることができる。

   2 法令又は定款の規定に基づき社員の同意、承諾又は承認を要する場合には前項の決議をもって社員の同意、承諾又は承認とみなす。業務執行社員が必要と認めた事項の決議についても同様とする。

   3 法令又は定款の規定に基づき社員が決定すべき事項については、社員総会の決議をもって社員の決定とみなす。

(招集)

第13 条 社員総会は、定時社員総会及び臨時社員総会とし、定時社員総会は、毎事業年度終了後2か月以内にこれを招集し、臨時社員総会は必要があるときに臨時にこれを招集する。

   2 社員総会を招集するには、総会の日の1週間前までに、社員に対してその通知を発しなければならない。ただし、社員全員の同意があるときは、招集の手続きを経ることなく開催することができる。

(招集権者及び議長)

第14 条 社員総会は、代表社員社長がこれを招集し、議長となる。

   2 代表社員社長に事故があるときは、代表社員社長が予め定める業務執行社員がこれを招集し、議長となる。

(議決権)

第15 条 社員は、社員総会において、1社員につき1個の議決権を有する。

(議決権の代理行使)

第16 条 社員は、当会社の議決権を有する社員1名を代理人として、その議決権を行使することができる。

   2 社員又は代理人は、社員総会ごとに代理権を証明する書面を当会社に提出しなければならない。

(議事録の作成)

第17 条 社員総会の議事については、法務省令に定めるところにより議事録を作成し、出席した業務執行社員及び代表社員社長が記名押印又は電子署名を行い、決議の日から10年間、これを本店に備え置くものとする。

まとめ

如何でしたでしょうか。上記は一例にすぎません。けっこう奥が深いかと思います。一人で設立する場合は後で定款変更も一人でできますのであまり考えないかと思いますが、相続の内容には気を付けてください。
複数名で運営するときは「競業避止義務」などについても定めておくと良いかもしれません。