個人事業主の方が法人を設立しようとしたときに、株式会社にしようか合同会社にしようか悩む方がいらっしゃいます。
最初から法人を設立しようとする方は株式会社を選ぶことが多いですね。
合同会社の特徴を知り、自分の事業にはどのような法人形態がベストなのか考えてみましょう。
合同会社とは
株式会社と比較して合同会社は以下のような特徴があります。
- 設立費用が安い
- 簡易迅速に設立できる
- 維持費用が安い(※決算公告必要なし・役員の任期もなし)
- 迅速な意思決定ができる(※取締役会、株主総会がない)
- 出資者は、出資金額に関係なく、平等な発言権を有する会社
- 会社内部のことについては 出資者同士で自由な取り決めができる
- 日本版LLC( Limited Liability Company )と言われている
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
設立コスト | 約20万円 | 約10万円 |
信用力 | 〇 | △ |
定款作成 | 必要 | 必要 |
定款の認証 | 必要 | 不要 |
決算公告義務 | 必要 | 不要 |
役員の任期 | 2年~10年 | 無期限 |
役員配当金 | 出資割合に応じて分配 | 自由に設定できる |
社債発行 | 可能 | 可能 |
大雑把に行ってしまえば、信用力があるのは株式会社だが、株式会社は合同会社よりお金と手間がかかります。
合同会社に向いているケース
信用力では「合同会社」より「株式会社」のほうがありますが、合同会社でも十分なケースがあります。
1 会社の種類を前面に出さない事業
美理容業、 飲食業、 八百屋、家事代行業等の場合は、看板やホームページにはお店の名前が載っていますが、法人名まで載っていないです。またそれを誰も気にしないかと思います。このような場合には、合同会社でも良いかと思います。
2 介護事業
介護保険法に基づく居宅介護支援事業、訪問介護事業、訪問入浴介護事業、訪問看護等、それほど大規模でない介護事業の法人化の場合は、合同会社が向いているかと思います。
3 収入が大きくなってきたので、個人の所得ではなく、会社の利益としたい
例えば芸能人が法人を立てて、自身の売上を法人宛にすると、個人の所得税ではなく、法人税として納付することになります。節税対策ですね。
4 個人が数名で共同事業を行う場合に発言権を平等にしたい場合
株式会社は原則として、出資金額に応じて発言権(議決権)を有しますが、合同会社は原則として(定款に示さなければ)、出資金額に関係なく平等に発言権を有する(1人1議決権)会社です。
5 子会社設立
子会社は、親会社のネームバリューでビジネスを展開します ので、会社の種類はあまり問題になりません 。また合同会社には、株主総会もなく、取締役・取締役会もなく、監査役・会計監査人も不要であり、簡易・迅速な意思決定と機動的な経営ができ、維持費用も安く、理想の子会社といえます。
マトメ
如何でしょうか。
収入を個人ではなく法人にしたいために、取りあえず法人が欲しい方もいらっしゃるかと思います。
また、将来的に大きく発展させる予定だが、手持ち資金が無く、会社の設立費用等初期投資をできる限り抑え、維持コストの掛からない会社を選択したい場合も考えられます。
合同会社から株式会社への組織変更は簡単にできますので、まず合同会社で設立し、経営が軌道に乗った段階で合同会社から株式会社へ組織変更するのも良いかもしれません。