建設業

建設業にかぎらず、元請負人と下請負人では注文者のほうが立場が強い傾向にあります。建設業法は注文者による不当な行為をいくつか条文で禁止していますし、「建設業法法令遵守ガイドライン(第5版)」では以下のような記述があります。

「赤伝処理等による一方的な代金の差し引き、指値発注による不適切な下請取引、追加・変更契約の締結拒否、下請負人の責によらないやり直し工事の強制、正当な理由がない長期間にわたる支払保留等、下請負人へのしわ寄せが依然として存在するとの指摘がなされているところです。こうした状況は、技能労働者への適切な賃金水準が確保できなくなるなど、建設産業が持続的な発展を遂げる上での阻害要因になりかねません。」


本日は「不当に低い請負代金の禁止」と、それに関わる「指値発注」について解説します。
※赤伝処理については別のページで解説しております。
(赤伝処理とは)

【建設業法第19条の3】(不当に低い請負代金の禁止)
注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。

指値発注とは

■指値発注とは
元請負人と下請負人が請負契約を交わす際、下請負人の協議に応じることなく、元請負人が一方的に決めた請負代金の額を下請負人に提示(指値)し、その額で下請負人に契約を締結させる行為です。

【指値発注の例】

●建設業法に違反するおそれがある指値発注の行為

【不当に低い請負代金】
・下請代金の額がその工事を施工するために「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合

【著しく短い工期】
・下請負人に対して示した工期が、通常の工期に比べて著しく短い工期である場合

●建設業法に違反している指値発注の行為

【一定の見積期間なし】
・元請負人が指値した額で下請契約を締結するか否かを判断する期間を与えることなく、回答を求める行為

【契約前の着工】
・契約書面の取り交わしが行われていない段階で、元請負人が下請負人に対し下請工事の施工を強要し、その後に下請代金の額を元請負人の指値により一方的に決定する行為

「指値発注」とならない為に

例えば、元請負人が自らの予算額のみを基準として、下請負人との協議を行うことなく一方的に代金を決定し、契約を締結してはいけないということになっています。

契約の際、元請負人は自らが提示した額の根拠を明らかにして、下請負人と十分に協議を行い、指値発注により下請契約を締結することがないよう留意することが必要になります。

まとめ

原材料価格、エネルギーコスト、労務費などの上昇や、環境や経済の変化に伴うコスト増は考慮にいれているでしょうか。逆に技術革新の恩恵は誰が受けるべきでしょうか。値決めは本当に難しいと思います。
経営的には取引先を分散させることがリスクヘッジになります。大きな1社の売上だけで営業していると、その取引が無くなったら一気に経営が傾きます。結果として、その1社の言いなりになりかねません。
同じ売上高でも、複数社から受注しているほうが安全です。人を使うのも同じですね。一人の仕事のできる者に頼ってしまっていたら辞められたときのリスクが大きいです。

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