電気工事

電気工事業とは

建設業29種類の中で『電気工事業』について見ていきます。
建設業許可の分類では以下のようになっています。

内容発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事
例示発電設備工事、送配電線工事、引込線工事、変電設備工事、構内電気設備(非常用電気設備を含む)工事、証明設備工事、電車線工事、信号設備工事、ネオン装置工事

この『電気工事』の特徴は「国交省の建設業法」と「経産省の電気工事業法」の2つに絡んでいることです。
建設業で電気工事の許可だけ取得しても電気工事業の登録を受けていなくては工事できませんので、注意してください。

「建設業法」は①発注者を保護し②建設業の健全な発達を促進し③公共の福祉の増進に寄与する、ことを目的としています。(建設業法第1条の記事はこちら)
大規模工事の場合に、業者の財産的基礎や管理者の常駐が要件となっていますね。
それに対し「電気工事業法」は、電気工作物の保安の確保に資することを目的としています。

電気工事業の登録、届出

お客様の住宅や工場・ビルで、一般電気工作物や自家用電気工作物の配線や設備工事を行う場合は、電気工事業の登録、届出等が必要です。

●電気工作物とは

行政庁があらかじめ、自家用電気工作物のみ実施する電気工事業者の適格性をチェックする必要性が乏しく、手続きを簡素にしています。
また、建設業法の許可を受け、電気工事を業として行おうとする者の手続きは、二重規制を排除するため、やはり、手続きを簡易にしています。

■新規手続きの4区分

建設業許可あり電気工事業者の届出
建設業許可なし電気工事業者の登録
※一般用電気工作物のみ、または一般用電気工作物及び自家用電気工作物
建設業許可あり電気工事業者のみなし通知
建設業許可なし電気工事業者の通知
※自家用電気工作物のみ

電気工事業の義務

■主任電気工事士の設置

電気工事業者は、一般用電気工作物に係る電気工事の業務を行う営業所ごとに、一般用電気工作物に係る電気工事の作業を管理させるため、第一種電気工事士、又は第二種電気工事士免状の交付を受けた後、電気工事業者で電気工事に関し3年以上の実務の経験を有する第二種電気工事士を、主任電気工事士として置かなければなりません。
(※第一種電気工事士、第二種電気工事士は建設業許可での専任技術者になれる資格です。)

■器具の備付け(法第24条)

備え付けなければならない器具は、電気工事の種類によって次のとおりとなっています。

〇一般用電気工事のみを行う営業所
  1. 絶縁抵抗計
  2. 接地抵抗計
  3. 回路計(抵抗及び交流電圧が測定できるもの)
〇自家用電気工事を行う営業所
  1. 絶縁抵抗計
  2. 接地抵抗計
  3. 回路計(抵抗及び交流電圧が測定できるもの)
  4. 低圧検電器
  5. 高圧検電器
  6. 継電器試験装置
  7. 絶縁耐力試験装置

※(6)と(7)は借用できる措置が講じられていればよい。

■必要書類(神奈川県の例)

〇登録(建設業許可なし)の場合

登録電気工事業者登録申請書様式第1※必須書類です
誓約書県様式第7号※必須書類です
電気工事士免状のコピー免状原本を持参します。※必須書類です
登記事項証明書法人の場合※必須書類です
運転免許証等本人確認書類個人の場合※必須書類です
主任電気工事士に関する誓約書県様式第8号 (役員以外の従業員が主任電気工事士になる場合に必要です)
雇用証明書県様式第9号 (役員以外の従業員が主任電気工事士になる場合に必要です)
主任電気工事士等実務経験証明書県様式第11号(第二種電気工事士が主任電気工事士になる場合に必要です)

〇届出(建設業許可あり)の場合

電気工事業開始届出書様式第18 ※必須書類です
電気工事士免状のコピー免状原本を持参します。※必須書類です
建設業許可証のコピー※必須書類です
主任電気工事士に関する誓約書県様式第8号 ※必須書類です
雇用証明書県様式第9号(代表者以外が主任電気工事士になる場合に必要です)
登記事項証明書法人の場合 (建設業許可証に記載された住所と申請者の住所が異なる場合に必要です)
主任電気工事士等実務経験証明書県様式第11号 (第二種電気工事士が主任電気工事士になる場合に必要です)
登録電気工事業者登録証登録電気工事業者から移行する場合に必要です
角2の返信用封筒440 円分の切手を貼付し、郵便番号・住所・氏名を記入します。(電気工事業開始届受理書の郵送による受取を希望する場合に必要です)

〇通知(自家用電気工作物のみを行い建設業許可なしの場合)

電気工事業開始通知書様式第14の2 ※必須書類です
誓約書県様式第7号 ※必須書類です
登記事項証明書個人事業の場合は、運転免許証のコピー等 ※必須書類です
角2の返信用封筒440 円分の切手を貼付し、郵便番号・住所・氏名を記入します。(電気工事業開始通知受理書の郵送による受取を希望する場合に必要です)

〇みなし通知(自家用電気工作物のみを行い建設業許可ありの場合)

電気工事業開始通知書様式第21 ※必須書類です
建設許可証のコピー※必須書類です
登記事項証明書個人事業の場合は、運転免許証のコピー等(建設業許可証に記載された住所と申請者の住所が異なる場合に必要です)
角2の返信用封筒440 円分の切手を貼付し、郵便番号・住所・氏名を記入(電気工事業開始通知受理書の郵送による受取を希望する場合に必要です)

電気工事業の登録の更新

電気工事業の登録有効期間は5年間です。電気工事業を継続する場合は、登録の更新手続き※(手数料:12,000円)が必要になります。
登録の有効期限が切れると、新規の登録の手続き(手数料:22,000円)となりますので、注意してください。

更新の必要書類

登録電気工事業者更新登録申請書様式第2 ※必須書類です
誓約書県様式第7号 ※必須書類です
電気工事士免状のコピー免状原本を持参します。 ※必須書類です
登記事項証明書法人の場合(個人事業主は運転免許証又は保険証のコピー等) ※必須書類です
登録電気工事業登録証※必須書類です
主任電気工事士に関する誓約書県様式第8号(役員以外の従業員が主任電気工事士になる場合に必要です)
雇用証明書県様式第9号(役員以外の従業員が主任電気工事士になる場合に必要です)
登録事項等変更届出書様式第11(会社名、住所、代表者の氏名、営業所の名称、所在地、電気工事の種類、役員の氏名、主任電気工事士の氏名や免状の種類・交付番号のいずれかが変わった場合に必要です)
主任電気工事士等実務経験証明書県様式第11号(主任電気工事士が変更になり、第二種電気工事士の場合に必要です)

登録または届出した内容を変更する場合、廃止する場合

電気工事業の登録内容を変更する場合、電気工事業を承継する場合、電気工事業を廃止する場合には、それぞれ手続きが必要です。

まとめ

実際に電気工事の施工を行うためには、建設業の許可とは別に電気工事業の“登録”を受ける必要があります。逆に、建設業の許可を持っていなくても、電気工事業者の登録を受けていれば(500万円未満の工事であれば)原則施工が可能です。自社での電気工事の施工をお考えの場合、建設業の許可の取得の必要がなくとも、電気工事業者の“登録”は必須となりますのでご注意ください。